
拭き漆の木製皿の制作工程
1つの作品の完成までには多くの工程があります。拭き漆の木製皿を例にその工程をご紹介します。木と会話しながら、1つ1つの工程を丁寧に行うことで美しく丈夫で使いやすい作品が完成します。その一例をご紹介します。
1.10年以上、自然乾燥している栗の木を使用します。

2.木取りという作業を行います。作品のデザインはもちろん、日常生活で使いやすい大きさ、木目まで吟味して製作します。どの部分をどのように使うかで 最終的な作品の完成を左右しますので、とても大事な工程です。ですので、最初にしっかり決めておきます。

3.まずは板を一定の厚みに整えてから、作品のイメージや大きさに合わせた墨付けを行います。

4,墨付けに合わせてカットをした後に、形を美しく整えていきます

5.美しく整えた後に、表面をカンナで削ります。どこまで削るのか、どこで手を止めるのかなど、削り進めながら変化する木目などを考慮して作業を行います。

6.表面が整ったら、同じように裏面に墨付けを行います。

7.裏面も美しい形になるように削っていき、ペーパーで整えます。

8.木地固めの作業を行います。この作業では、作品に漆を吸い込ませます。乾燥した木ではありますが、呼吸をしているため微妙に動く木を落ち着かせる意味も込めて行います。

9.漆を吸い込ませた作品に対して、さらに漆を塗り重ねます。木の導管や師管が漆で埋まるまで塗り重ねるためには、4回ほど繰り返します。次に、塗り重ねた漆をペーパーで磨き落とし、最終的な形に整えていきます。その結果、作品の表面が滑らかになります。
10.さらに漆を塗ります。途中で磨きを入れながら漆を塗り重ねます。
(この作品は表裏とも10回塗り重ねます。)

11.完成となります。
